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2011 年09 月08 日

駐車場消火器事故

 今日の日経夕刊に駐車場消火器事故で元管理人罪状否認との記事が載っていた。
 起訴状によると、被告人は老朽化した消火器が破裂の危険性のあることを知りながら点検せずに駐車場に放置しておいた結果、駐車場に立ち入った10才の男児が消火器を作動させた結果破裂して傷害を負ったことにより業務上過失致傷にあたるというものだ。検察側の冒頭陳述では、消火器には5年を点検時期の目安とするとの記載があるのにそれを怠ったということが被告人の注意義務違反ということのようだ。

 駐車場と消火器とはどうも結びつかないが、特に本件では男児が駐車場内に立ち入って消火器を触ったということだから、駐車場も青空駐車場なのだろう。そうすると、消火器も設置義務があって設置されたものではなく、単にそこに置かれていただけなのだろう。
 そうすると、「5年を点検時期の目安とする」というのは自主基準・望ましい基準ということにすぎず、それが消火器の点検義務には結びつかないように思われる。

 行政法的考察としてはここで終わるのだが、それでは、消防法上点検義務がない以上、直ちに無罪といえるかというと、そうとは限らないようにも思える。業務上過失致傷罪の成否という見地からすると、消防法によって点検・管理義務が認められなくても、その罪の成立を基礎づけるに足りる注意義務が社会通念によって肯定されるということもあり得るだろう。
 確かに古い消火器が放置されていることを認識し、本件駐車場が小学校の通学路に面しており、子ども達が日常的に駐車場内に立ち入ってくることも認識していたとしたら、男児がふざけて消火器をいじって事故を起こす可能性があることは予見できたということが言えるのかも知れない。しかし、駐車場の向かい側に居住する住民にすぎなければ、このような事実を認識していたからと言って、業務上過失致死に問われることはあるまい。そうすると、やはり少なくとも駐車場の管理人が、駐車場内の消火器の管理も委託されていたという関係が必要であろう。法律上の注意義務・管理義務を肯定する以上、その委託関係は、契約に基づく必要があると考えられ、「車を管理するついでに消火器も見といてな」という程度のものでは足りないと考えられる。

  記事のリード部分によると、弁護側は「破裂の認識がなかった」という点を争っているようだが、認識がなかったといくら弁解しても、消火器にそのような表示があるとか、広報がなされていたとかいわれたら、認識はあったと認定されてしまいかねない。むしろ、争点は被告人に業務上過失致傷罪の成立を基礎づけるどのような注意義務が認められるのかという点にあるように考えられる。

投稿者:ゆかわat 23 :46| ビジネス | コメント(0 )

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